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No.73 「鈴木宗男」 (2010.10.12)

私は、元外交官の佐藤優氏の本は一切読んでいませんが、鈴木宗男氏は、
良い人だったのではないかと言う気がしています。

かれこれ、10年近く前の話であると思いますが、私は鈴木宗男氏を見かけた
ことがあります。

 目が合い、微笑みかけてくれる彼の表情には「あっこの人本物の人物!」という感覚を
覚えさせる力がありました。

それは、青森から札幌へ入る寝台車に乗った時の事でした。今も昔も出張の多い
仕事をしていまして、その時も青森にいました。冬になりかけていた寒い青森でした

寝台車の青函トンネル線の発車時刻は確か、夜の23時頃に乗り込み、翌朝の6時
には札幌に着くような電車でした。

昔は、よく寝台車や寝台バスに乗って移動しました。寝ている間に移動できるので、
時間的に余裕ができるのと、夜のホテル代が浮くからです。今では、ホテル代が
とても安くなったので宿泊したほうが安い場合もありますが、当時は効率化のみを
追求してました。

 ということで、旅がらすの山内は寝台車には慣れています。寝台車の自分の寝床を
確認すると、カーテンを閉めて、自分の小部屋を作ります。そして、カバンを奥に置き、
浴衣に着替えます。
横になり天井を眺めると意外に広いものです。ただ、快適か?と聞かれるとそうでもあり
ません。頭の上の小さなライトを付けて、少し本でも読もうかとおもうのですが、小さな
揺れが気になって、読めず、結局、すぐにライトを消して寝る体勢に入ります。
それでも、なかなか寝付けません。寝台車はシーツが付いているとはいえ布団変りの
座席ベットが少しベトベトします。また、途中、途中の踏切では、その音で目が
覚めます。
「こんな生活をしながら仕事をしている奴も少ないだろうな。」と思わせます。

やっとウトウトしだすと、朝5時を過ぎてきて、そろそろ札幌に着くころになります。
まだ、外は暗い。列車の中は、強い暖房が入っているので、薄着でも大丈
夫ですが、あまり人に見られるのも嫌なので、少し服を着てカバンから歯ブラシと
タオルを手に、洗面所に向かいます。洗面所の水は貴重なので、水の出る量は
抑えられていて、少ししか出ません。それを手桶を作って水を拾うようにして顔を洗
うのです。

寝不足と不自由な列車の中で苦労するのは、お金持ちや偉い人の生活とはちょっと違う
経験ができます。

眠い目を凝らして、洗面所から自分の寝床に戻ろうとすると、そこに鈴木宗男が立って
いました。両端にSPらしき男が2人立っていて、彼は既に、しっかりとしたスーツ姿に
髪の毛も整え、しかも「早起きで眠れなかった。」などという言い訳がまったくない
さわやかな笑顔で私を迎えているではありませんか。
会話はしませんでしたが、目が会った時に
「大変ですね。今日も頑張りましょう。」
と話しかけているような笑顔でした。

北海道選出の彼は、たぶん、私のような労働者を迎えるために朝早く起きて、準備を
していたのであると思います。その時は選挙期間でもなく、しかも、当時の彼の地位で
あれば、わざわざ寝台車で移動しなくても、移動手段はいくつかあるとは思うのですが、
彼はそこにいました。

人の心に印象深い笑顔を残すことは難しいものです。

何十年も生きていますが、男性の笑顔で、心に染みたのは初めてでした(笑)。
彼は良い人だと今でも思っています

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